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女性の就業と労働時間日本人は女性の就業について、どのような意識をもっているのであろうか。
ここで一度確認しておく必要がある。
まず、女性では「子どもができたら職業をやめ、大きくなったら再び職業をもつ方がよい」という再就職型が約四割を占め、最も支持が多い。
ついで、「子どもができてもずっと職業を続ける方がよい」という継続就労型が三四・四%を占める。
専業主婦が望ましいとする「女性は職業をもたない方がよい」「結婚するまでは職業をもつ方がよい」「子どもができるまでは職業をもつ方がよい」の合計は、二〇・二%を占める。
ごく大まかにいえば、専業主婦型二割強、再就職塾四割強、継続就労型四割弱となる(「わからない」「その他」を除く)。
これを、そうした選択を迫られている中心世代である二〇代でみると、専業主婦型二割弱、再就職塾五割弱、継続就労型三割強となる。
専業主婦塑だけでなく継続就労型も支持が少ない。
再就職型が多いのは、仕事と育児の両立はきびしいが、専業主婦にも魅力が少ないということであろう。
つまり、仕事と育児の折り合いのつけ方として再就職型が支持を獲得しているのである。
ただ、他方で再就職ではパートタイマーしかないという意識は強いだろう。
男性では、やや専業主婦型への支持が多く、再就職型や継続就労型の支持が少ない。
とはいえ、それほど大きな差ではない。
また、二〇代と六〇代以上で継続就労型への支持が低く出ていることは興味深い。
「結婚や出産にかかわらず、職業を持ちつづけたほうがよい」とする女性が増えている。
実際、ますます結婚や出産後も仕事をつづけようとする女性は増えるであろう。
そのためには家庭生活との両立が不可欠である。
男性は自分だけの稼ぎで一家を賄う自信をどんどん失いつつある。
収入額だけでなく、その前提としての雇用の安定性も揺らいでいる。
このように考えれば、男性も女性もますます雇用の安定性をもち家庭生活と両立する仕事を希望するであろう。
私たちは、無理なく働ける正社員を求めるべきではないだろうか。
息苦しくなってきた正社員という生き方マスコミで語られる正社員モデルは、出世・昇進をめざして競争している人たちである。
しかし、本当にそうありたいと思っている人ほどの程度いるのだろうか。
日本労働研究幾構『構造調整下の人事処遇制度と職業意識に関する調査』(一九九八年)(4)の勤労者調査によれば、六〇・七%が「管理・監督職のポストにつけなくても構わない」と回答している。
理由としては、「管理職の仕事に魅力がないから」が最も多く全体では三一・三%を占めており、「責任が重くなるから」(一五・二%)、「今の仕事に満足しているから」(一三・三%)がこれにつづく。
他方、仕事に生きがい・やりがいを求める人は多い。
『国民生活に関する世論調査』(二〇〇一年九月)によれば、「どのような仕事が理想的だと思うか」という問いに対して、「収入が安定している仕事」をあげた者の割合が四八・九%と最も高く、以下、「自分にとって楽しい仕事」(四六・七%)、「自分の専門知識や能力がいかせる仕事」(二七・七%)などの順となっている(二つまでの複数回答)。
二年前の調査と比べて、「自分にとって楽しい仕事」が増えている。
これは現実の仕事のきびしきを反映したものかもしれない。
この回答は、一般に女性や二〇代の男性に多い。
また管理・専門技術・事務職では、「自分の専門知識や能力がいかせる仕事」の比率が高い。
とくに四〇代までの男性で高い。
どのような仕事が理想ラェ的かという設問は必ずしも適切ではないが、人々の多くは、やりがいのある仕事を求めているはずである。
なぜならば、職業生活での充実は人生において大きな位置を占めるからである。
やりがいのある仕事は非正社員にどの程度できるであろうか。
こうしてみると、非正社員でよいとは必ずしもいえないことがわかる。
また、非正社員的な働き方では、おもしろい仕事をすることは少なそうだ。
キャリアを浩んでいくには、同一企業内にせよ企業を渡り歩くにせよ、キャリアアップにつながるような仕事を経験しなければならない。
それはやはり正社員でないとそのチャンスは少ないだろう。
とはいえ、正社員になれば人生はばら色かといえば、残念ながら、そうも言い切れない。
正社員だからといって、おもしろい仕事ができるわけではない。
むしろ忍耐のいる仕事やきびしい仕事が待っていることのほうが多い。
賃金が低い非正社員にはとても頼めないような仕事が正社員にまわってくることはよくある。
さらに、いつのころからか、正社員として会社に入ると、転勤や配置転換、長時間残業、休日出勤など、会社が求めることにすべて応じなければならないような社会になってしまった。
これには裁判所の判例が大きな役割を果たしている。
たとえば、神戸営業所勤務の営業担当者が名古屋営業所へ転勤命令を受けたケース(東亜べイソト事件、最高裁判所第二小法廷、一九八六年七月十四日)では、最高裁は、母親、妻、長女との別居を余儀なくされる家庭の事情を「通常甘受すべき程度」として、これを拒否したことによる懲戒解雇を有効とした。
また業務上必要であれば、三六協定によって残業について使用者は包括的な命令権をもつとされている。
たとえば、残業を拒否した労働者に対する懲戒解雇が有効とされた事例がある(日立製作所武蔵工場事件、最高裁判所第一小法廷、一九九一年十一月二十八日)。
つまり、現在では会社が必要と認めた異動や残業を拒否すれば、解雇されかねない。
また、労働基準法は週四〇時間労働を定めるけれども、残業のない会社などほとんどない。
また、部下もいないのに労働基準法第四一条にいう「管理監督者」ということで残業手当のない人も多い。
いわゆる管理職相当職の人たちである。
もちろん、こうした生き方を望む人もいるから、すべてがダメだとはいわないが、望まない人にもそれが強要されているために、正社員という生き方は実に息苦しいものとなっている。
二~三年おきに各地を転々とする仕事が家族にとってよいわけがない。
かりに賃金が高くても。
週四〇時間しか働かない人(つまり五時に会社を退社できる人)は、正社員とは認められないのが当然のように思われているのが現代日本社会なのだ。
さらに最近ではパートタイマーでも残業を拒否しにくい。
この息苦しさは家庭の経済的責任を一方的に負わされている男性にとっては、たまらないものであり、男女雇用機会均等法のもとでこうした男性と同等の要求を突きつけられ、かつ圧倒的な男性社会のなかで強い精神的圧迫を受けつづけてきた女性にとってもたまらないものである。
彼女たちの多くが仕事をやめざるを得なかったのも、この息苦しさに原因の一端がある。
実際、こうした仕事の仕方を望まない人は少なくない。
先にみた『構造調整下の人事処遇制度と職業意識に関する調査』によれば、「勤務地を希望地方に限定できれば昇進・昇格にこだわらない」者が約三分の二を占め、「スタッフとして専門的知識を生かすポストにつきたい」とする者も約三分の二を占めている(図表2-6)。
他方、「会社のためなら自分の生活を多少犠牲にするのは当たり前」「単身赴任も会社のためならやむを得ない」と思う者の割合はそれぞれ三九・七%、四七・六%いる。
これを会社への忠誠心が強いとみるか否かは評価の分かれるところであろうが、私は、自分の生活を犠牲にしないとする者が六割おり、単身赴任を「やむを得ない」とは考えない人が過半数を占めていることに注目したい。
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